グローバル人材育成のために

ミクロネシア諸島自然体験交流事業

ミクロネシア諸島自然体験交流事業は、日本とミクロネシア諸島の国々(マーシャル諸島共和国・ミクロネシア連邦・パラオ共和国)の子どもたちが互いの国を行き来し、ミクロネシア諸島の自然や日本の風土などを肌で感じ、共生することの大切さを学ぶことを趣旨とし、、2002(平成14)年より相互交流を行っています。

派遣プログラム
受入プログラム
 ※例年の内容を記載しています。

【プログラムの概要】 ※例年の内容を記載しています。

(1)受入プログラム

東京プログラム:スポーツでの交流、都内中学校訪問、国会議事堂訪問、各国大使館訪問 等
地方プログラム:拠点施設周辺での各種体験、地元学校訪問、ホームステイ 等

(2)派遣プログラム

自然体験(シュノーケリングなど)、離島での生活体験、スポーツでの交流、ホームステイ 等

関係機関

Interview

マーシャル諸島共和国での体験が、変化のきっかけに。

松島 かれん(まつしま かれん)さん
2014年度「ミクロネシア諸島自然体験交流事業」に、中学2年生で参加。
現在、東京大学4年生。農学部で水産を専攻し、貝類の病気について研究。
*本インタビューは2024年2月に実施しました。

■2回目の応募で合格し、10日間の旅へ
ミクロネシア諸島には、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオ共和国という3つの国がありますが、私がお伺いしたのはマーシャル諸島。今から10年前、14歳の中学2年生の時でした。
小さい頃は、海や空が好きだったので、いつかもっと自然を見てみたいという気持ちがありました。海外にも行ったことがなかったので、中学生になって、挑戦したいと思った時に、たまたま「中高生新聞」の広告で本事業を見つけました。海の風景写真があって「自然体験」と書いてあって、「あっ、すごくきれいだから行ってみたい」と中学1年生の時にお電話しました。
中学1年生の応募は、書類選考で落ちましたが、諦めきれなくて、1年後に2回目の応募をし、とにかく熱意だけ書類に込めようと思いを込めたら、奇跡的にそれを読んでいただくことができ、この事業への参加が実現しました。

ミクロネシア諸島については、国の位置などをインターネットで見たくらいでしたが、合格通知をいただいてから、国立青少年機構 (以下、機構)の方からお電話をいただいたり、両親と一緒に調べたりして「あっ、こういう国なんだね」と少しずつ学びました。最初に地図を見た時はとても遠い国でびっくりして、しかも1日で行けないことを知って、電車酔いや飛行機酔いを心配しました。十何時間も飛行機に乗る経験もなかったので不安でした。
マーシャル諸島共和国へは2日間かけて、飛行機で島を渡りながら行きます、アイランドホッピングです(笑)。現地での滞在はおよそ6日間。天気は晴れていたけれど、スコールがあるので、毎日必ずどこかで大雨!で、みんなびっくりしていましたね。ホームステイとか、無人島に船で行って生活をしたり、地元の方と一緒に運動会みたいな感じでスポーツ大会をしたり……いろんなプログラムを経験しました。
中学2年生で未知の国に行って、初めてのことをするのは大変でした。緊張し過ぎてお腹が痛くなったり、ちょっと体調が悪くなったりみたいなことも、私を含めありましたがみなさんに支えていただいて、無事に何とか1週間の滞在を終えることができました。

■自然体験交流で得られたこと
特に印象に残ったのは、無人島生活です。地元の同年齢くらいの方と一緒に無人島に行って、地元の方にいろいろお料理も作っていただいたりしながら3日間滞在したのは、人生のターニングポイントだったと思います。電気もないし、お手洗いもそこにつくったものだったり、滞在するのもお家ではなく組んだものだったり普段の生活とは大違い。日没後は真っ暗!でも海の音が聞こえて、空は満天の星空……という自然はとてもいい経験となりました。23年間であれ以上の美しい自然を見たことはありません。

この事業に参加しての大きな変化が2つほどあります。
1つは性格面。初めてこの国に行って、自分自身がやってみようと思ったり、動き出さないと変化しないことを感じて、それまで学校などでもあまり手を挙げたりしなかったのですが、そこから、自分で挑戦を重ねていきたいという性格が生まれました。多くの方にご指導いただいたり、いろいろなことを見たことから、大きな影響を受けたと思います。

もう1つ、これをきっかけに挑戦したものがあって、無人島で、きれいな海、サンゴ礁や色とりどりの魚を間近で見て、自分はこれについて研究してみたい、これからこういう自然について学びを深めたいという思いを抱くことができたのは、すごく大きな変化だったと思います。たぶんこの国に行っていなかったら、自分が水産について学ぶことは絶対になかったと思うし、地元の方から地球温暖化で海面がこれくらい上がってきていることを、目の前で教えていただいた時に、初めて温暖化や環境に関心を抱いたと言えます。そこから自然や環境について、中学生ながらも学びを深めたり、高校になって大学進学でその分野を選んだりしたのは大きな変化でした。いま大学で貝の病気の研究をしていますが、海について勉強したいと思ったのも、この国に行ったからだと思います。

■その後の人生にも大きな影響
いま思えば、本事業への参加は「自分で動き出した第一歩」でしたね。
いろいろな方に優しくしていただいたり、自分が挑戦したいと言った時に温かいお言葉をいただいたりしたので、それを思い出すだけで、その後の人生で何か挑戦する時にも「あっ、あの時ああ言っていただいたから、それを信じて頑張ろう」など、心のエネルギーをいただいたと思います。
「これ、すごくよかったね」とか「あっ、こういうふうな優しさ、大事だよ」とか、当時かけられた言葉を鮮明に覚えています。飛行機で、隣の子が体調を崩した時に、私は英語がしゃべれなかったのですがCAさんにお水をお願いしたり、自分の酔い止めを渡したりしました。後で機構の方が「そういう心掛けや周りに対する優しさは大事だから、これからの人生でも大事にしてね」と教えてくださって、それが学びとなり、以降、人に対する接し方や、周りを見る時の着眼点などに、すごく影響を受けたと思っています。
実は4月以降のキャリアも、本事業に関与しているんです。帰国後、新聞や学校などでいろいろな形でミクロネシアについて「書いて伝える」ことをしていました。体験したことや思ったことを初めて言葉にする経験をしてから、「言葉で伝えること」がすごく好きだと気づき、大学卒業後も執筆をはじめとして、言葉を通していろいろな方と向き合って言葉で世界を変えていけるお仕事に携わりたいと思っています。

■ぜひ体験してください
この事業に参加したことで、いろいろな方と交流させていただき、10日間ずっと一緒にいたからこそ、初めて、見て・知って・感じて出会える多くの学びがあったと思います。
デジタルデバイスの発展などで、現在は知りたいと思った時に、すぐ情報にアクセスできる環境にありますが、だからこそあえて五感で感じたり、自分自身が体験して学んだりすることが大事になってくるのかなと思っています。
中学生や小学生のみなさんに、ぜひ参加していただいて、自分自身の五感で感じ学んだことを人生に生かしていただきたいです。人生が一層素敵なものになることを願っています。

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